在宅医療ならでは。。

1月17日は阪神大震災の日でした。
その平成7年は私が医学部を卒業した年です。
国家試験前でなにも動けなかったわたしは、国家試験がおわり、その発表のまえに現地にボランティアに行きました。
あれから、24年です。
つまり、医師になって24年になります。
48歳なので、人生の半分を医師として過ごしたことになるんですね。
外科医として働いていたときは、外科医の素晴らしさを語って、よりたくさんのかたに外科医になってもらおうとあまり思っていなかったかもしれないけれど、いまは、在宅医療のよさをたくさんのお医者さんに知ってもらって、幸せな医師人生を送ってもらいたいな..と思っています。

今日の訪問診療では在宅医療ならでは。。のことがありました。

ご高齢ご夫婦で暮らしておられる患者さんです。
ご主人が腰椎の圧迫骨折、脳梗塞後遺症、廃用症候群でなかなか思うように動けません。
一時期、施設に入っておられ、そのときに主治医にならせていただきました。
その後、どうしても自宅で生活したい。。といわれたのですが、どうみても自宅で生活できるレベルではない、それでも、奥さんががんばるから、、、ということで自宅に帰られました。

ご自宅に行ってみると、にゃんこが5匹。

みんな元は捨て猫で、家族同然だと言われるのです。施設入居中は別に住んでおられる息子さんがお世話をしていたとのこと。

にゃんこちゃんたちに囲まれて幸せそう。。

自宅では難しいかも、、と思いながら、自宅生活を再会して早半年。奥さんの努力には頭が下がりますし、にゃんこパワー大したもんだ。。とも思っておりました。

そんなご自宅にいつものように訪問すると、下半身をすべてオープンにして、奥様が着替えを準備しておられます。

夜間に尿がおむつパットの容量をこえて、ズボン、洋服まで汚したようです。
伺うと、毎日だというのです。

つまり、毎朝起きて、ご主人のパンツ、ズボンを脱がせて、ふきあげて着替えさせてあげているのです。そんな苦労を今までわれわれは知りませんでした。また、ご主人も明け方に漏れて、冷たく、気持ちも悪くなるけれど、奥さんを起こすのは悪いから。。と我慢されているとのことでした。

2週間に一回訪問して、状況を伺っているのに、そんな困りごとを引き出せていなかったと思うと、なんだか恥ずかしくて顔が真っ赤になりました。

良く観察すると、おむつはトレーニングパンツであるし、なかにいれているパッドもちいさいものです。おむつの種類をかえたり、その容量を考慮したり、パッドの当て方を工夫することで明け方にもれることは防止できそうだったので、それを奥様に提案、そしてケアマネに連絡して、まわりもサポートする体制を整えました。

訪問診療で関わりながら、そういう情報を引き出せなかったのは、非常に恥ずかしいのですが、外来診療ではもっと分かりにくかっただろうし、そういう時間に訪問してなければ分からなかったかも、、と思うと、奥様がストレスで倒れるまえでよかったかと自分を慰めたところでした。

けっして先端医療ではありませんが、目の前のかたの困りごとに対応出来る、、という意味では本当にやりがいのある現場だと考えています。

在宅医療に興味のあるかた、一緒にいかがでしょうか?