悲しいけど。。現実かな。

100歳近い年齢で、徐々に食欲が落ちてきました。

年齢を考えると、そのまま自然な経過を見てもいいんじゃないかと思われる方も多いのではないでしょうか。

 

なんとか食欲が回復しないかと漢方薬も含めて薬を使って見ましたが、なかなか改善しません。

 

施設に入居しておられるため、施設スタッフが一生懸命食べさせてくれています。しかし、それに比例して誤嚥を繰り返しているようで、先日は誤嚥性肺炎で入院されました。

 

肺炎を起こすと食欲がなくなるんです。

 

最初は純粋に食欲がなかっただけだったかもしれませんが、肺炎による食思低下もかぶっているだろうし、そもそもがんばって食べさせてくれても圧倒的に足りないので、脱水にもカロリー不足にもなっていて、さらに食欲を低下させる悪循環に陥っていると判断していました。

 

本来なら、経口摂取は止めて、しばらく点滴で炎症を抑えたり、脱水の補正をしたいところです。

施設に提案しますが、夜間は管理上点滴は難しいと言います。また、点滴の針を抜いたり、点滴を更新したりもできないという規則のようです。

 

外部の訪問看護を導入しなくてはなりません。外部なので、そう都合の良い時間ばかりにはなりません。結局、日中に点滴できる分ということで、一日500mlの点滴にせざるを得ませんでした。

 

さらに、ご高齢であることもあり、血管が細く、脆いです。

毎日刺さなくてもいいように、工夫してくださいますが、どうしてもトラブルでほぼ毎日針を刺さなくてはなりません。さらに、途中で針が外れたりで、本人にとっては苦痛です。

 

ご家族にもう何もしないで自然の経過を辿るように経過をみるか、できることをするかのお話をしました。

 

このまま何もしないのは考えられない。できることをしてほしいと言われます。

 

本人の状態は。。というと、意識はあります。私たちの顔をみると手を合わせてありがとうと声に出して言われます。笑顔もあります。

 

どうしたって回復しないのであれば、何をしても回復の可能性は低く、やること自体がご本人を苦しめることになるかもしれません。と伝えるのですが、補液をすれば、もう少し栄養を補給できれば、また口から食べれるかもしれない。と思う自分がいます。

 

その可能性を伝えないまま、歳だから、もう先は長くないから。。という理由でその方と、ご家族のつながりを終わらせていいのだろうかと考えます。

 

いろんなところに連絡して、結局CVポートを入れることにしました。

やっと転院できるという前日、呼吸が浅い、血圧が測れないという連絡がありました。

 

日曜日でしたが、急いで駆けつけると確かに活気がありません。エコーで確認すると、心臓はしっかり動いてます。脱水による活気の低下、状態の悪化でした。

 

補液を増やして様子を見ることにしました。

夜も点滴できますか?と聞くと、『うーん』という返答。

 

確かにその方が夜勤をするわけでもなく、夜勤帯に点滴が漏れたらどうするか。。という問題はあるかもしれません。

けれど、第一に考えるのが入居者さんの命ではなく、施設側の管理の問題に考えがいってしまう現実に久しぶりに直面しました。

 

今回は訪問看護師さんが入ってくれて、脱水で状態が悪化しているのをいち早く見つけてくださったので、なんとかリカバーできて、無事に入院に漕ぎ着けることができましたが、残念ながら、まだまだそれが現実なのかもしれません。

 

全ての施設がそうだというわけではありません。

うちのグループの有料老人施設は何よりも患者さんやご家族の思いを優先します。

管理ができないからという理由では治療を諦めません。その方にとって必要なことであれば、管理の仕方をどうにか考えます。

 

そんな施設がもっともっと増えるといいなと思うし、そういうところの見本になるように、うちの施設も努力を重ねていきたいと思っています。