幹細胞上清療法の勉強会に行ってきました。

在宅医療をしていると脳梗塞後遺症の患者さんや神経難病の患者さんを診せていただくことがある。中枢神経は再生しないと学生時代に教えられて、なんとなく鵜呑みにできない、したくない自分がいた。心のどこかに人間の身体って、もっと強くてしなやかなんじゃないかと思っていた。
骨髄の中には幹細胞という何にでも分化できる細胞があって、それから赤血球にでも、白血球にでも分化できるじゃないか。我々が切除した肝臓だって、術後立派に再生できるじゃないか。。

そんななか、幹細胞は骨髄だけじゃなく脂肪組織内にもあると学んだ。

その幹細胞を培養することが可能だということも知った。

培養した幹細胞を体内に戻したら神経難病や脳梗塞で麻痺した機能も戻るんじゃないかと何名かの患者さんに提案し、受け入れてもらった。いまは再生医療新法ができて、そういう希望を簡単には持てなくなった。

昨年12月、ラスベガスでのA4Mに参加したら、re-generation(再生)が大きなテーマのひとつだった。脳梗塞後で歩けなかった患者さんが再び歩けるようになったり、難治性疼痛が軽減したり、、そういう話題にあふれていた。なにを使っているかというと、幹細胞。。ではなく、幹細胞を培養している上清液である。

その、いわばmagic soupを投与することで組織が再生しているのである。

つまり、幹細胞を投与することで、その幹細胞が増殖して神経細胞に変わったり、肝細胞に変わったりするのではなく、実は、その幹細胞がいろんな指令を出して、それぞれの臓器で分化していくと考えられているようだ。

なので、幹細胞を投与しなくとも、その幹細胞が出している指令物質を投与することで、十分組織が再生してくれるという仕組みである。

これが幹細胞上清療法である。

これからの医療の大きな柱のひとつは間違いなく『再生医療』だと考える。

幹細胞移植は確かに細胞を用いることもあり、また、その由来の問題から、軽々に一般化するのは問題だとは思う。
しかし、世界の再生医療のなかで日本だけが取り残されてしまっては、それで救われていたはずの患者さんにとってあまりにも無責任だと考えざるをえない。

せっかくの科学の発展の恩恵を間違った信念で間違った方向で使われないことを祈るばかりである。

ちょっと硬い話になりましたね。
こんな勉強会に参加してきました。

脳梗塞後遺症、神経難病、癌、、、諸々、一般に『治らない』と言われているものもなんとかしたい。。そんな想いでがんばっています。